不動産投資で自己破産続出のXデー近し

「不動産と心中するつもりだろうか?」

 不動産投資はからくりに満ちている。儲かるように見せかけることができるので、騙される人が後を絶たない。例えば、不動産投資のキャッシュフローは、誰でも初年度が最も儲かる。しかし、いずれマイナスになり、ローン返済に困るようになる。売りたくてもローン元本を上回らなければ売れない。そうなってからでは遅い。儲かっていないとは誰にも言えずに、時限爆弾が時を刻み始める。

 しかし、この世界は騙される方が悪い。なぜなら、不動産投資はいつ終わるか分からない「ババ抜き」をやっているようなものだからだ。高く売り抜けたら、このゲームを終えることができる。最後にババを手元に残した人が大損して、最悪は自己破産することになる。相当な数の人が不動産投資をやっているので、これから自己破産者が続出することになる。そのXデーはいつ来るか分からないが、必ずやって来る。

 私は不動産投資はやらない。単純に業務量の割にリスクリターンが悪いからだ。私は賃貸住宅の市場調査を日本で一番多く手掛けているので、市場の実情を最も知り得ている一人だろう。実はリーマンショック後、多くの法人が倒産したので、自分たちのサービスを個人向けに展開をしようかと考えた。実際に、本1冊分の原稿を書き終えたが、お蔵入りにもした。その理由は、個人投資家を儲けさせる手立てを持ち合わせていないからだ。個人が不動産投資で確実に儲けるのは至難の業だ。顧客ニーズを満たせないことを生業にすることはできない。それがせめてもの自分のプライドだった。

選ばれし民は誰か?

 不動産投資のような20世紀にはなかった投資商品が脚光を浴びるには制度変更などのきっかけが必要になる。制度が変わったのは法人ファンドにとってのみであり、個人に抜本的な改正はない。個人で不動産投資に参加できるのは地主の土地有効活用ぐらいだったし、今も原則は変わらない。地主の有効活用は賃貸市場があるところならば儲かる確率が高い。地主は土地代が無い分だけ、建物代だけの投資で不動産収益が得られる。利回り=賃料収入÷投資額なので、投資額が安く済む。このため、賃料を値下げする体力がある。

 実際、リーマンショック前後の市況悪化時の地方市場では個人オーナーが値下げを断行して、土地購入から投資した投資家の首が締まった市場もある。不動産オーナーの90%をこうした地主が占める市場において、個人で対抗するのは難しいが、法人には存在価値が生まれた。法人は税制の優遇、調達金利の低さのアドバンテージに加え、期待利回りが個人よりはるかに低い。法人に弊社がサービスできるのは、彼らが儲ける市場が制度上存在するからだ。この市場は個人投資家の資産規模とは桁が違う。各不動産の購入金額や棟数において、個人が手が出せる市場ではない。それが、制度変更による恩恵であった。

 そんな制度変更の折、誰もやらないのには理由があるのに、ロバート・キヨサキが不労所得と焚き付けた。この頃、競売など買い手の付かない、二束三文で売っていた物件に付加価値を付けて儲けた人が出たので、現実味を帯びてしまった。確かにこの時は千載一遇のチャンスだった。バブル崩壊後の不動産投げ売りの時代から、利回りで不動産が再評価される過渡期だったからだ。但し、そうした混沌した時期は最初の一時期に過ぎない。不動産投資は、地主と法人という「選ばれし民」のための投資商品であることは今も変わりはない。